いまや世界中の家庭に欠かせない電子レンジ。その始まりは、第二次世界大戦中の軍事レーダー開発にあります。1945年にアメリカで偶然発見された食品加熱の仕組みは、巨大で高価な業務用機械を経て、家庭に普及し、日本でも急速に広まりました。本記事では、発明の瞬間から技術革新、普及の過程までを時系列でたどります。
1940年代:偶然の発見とレーダーレンジの誕生
1940年、イギリス・バーミンガム大学でジョン・ランドールとハリー・ブートが空洞マグネトロンを発明しました。これは短波レーダー用に開発されたもので、戦時中に敵機や艦船の探知に使われました。


1945年、アメリカ・レイセオン社のエンジニア、パーシー・スペンサーがマイクロ波の食品加熱効果を偶然に発見しました。稼働中のレーダー装置の近くでポケットのチョコレートが溶け、続いてポップコーンや卵を実験材料に用いることで、マイクロ波が食品を加熱することを確認しました。同年10月、レイセオンはこの技術の特許を出願しました。

1947年、世界初の商用電子レンジ「レーダーレンジ」が登場。高さ約1.8メートル、重量約340キログラム、出力3kWの水冷式で、価格は約5,000ドル。巨大で高価だったため、主にレストランや船舶で使用されました。
1950〜60年代:家庭用レンジの登場
1955年、レイセオンは技術をタッパン社にライセンス供与し、壁掛け式電子レンジ「Tappan RL-1」が発売されました。価格は1,295ドル(現在の価値で約1万ドル以上)と高額で、普及は限定的でした。
1961年、日本では国産第1号機が業務用として登場。新幹線ビュッフェに搭載され、そのスピード加熱が注目を集めました。1965年には家庭用1号機が発売されましたが、実際にはパン屋や飲食店でホットドッグの再加熱に利用されることが多く、家庭普及は進みませんでした。
1966年、国産初のターンテーブル式電子レンジが登場し、加熱ムラを減らす技術革新が実現。翌1967年には調理終了音に「チン」が採用され、電子レンジといえば「チン」という文化が定着しました。
ここまで
1970年代:普及期と安全性への関心
アメリカでは1967年、アマナ社が発売したカウンタートップ型電子レンジが495ドルと比較的手頃な価格で提供され、家庭への普及が進みました。1970年代には部品コストの低下と技術向上で価格が下がり、電子レンジは一気に一般家庭へ広がります。
一方、日本でも1976年に低価格のファミリーモデルが登場し、購入層が拡大しました。また、温度センサー付きモデルが開発され、自動再加熱機能が搭載されました。
ただし、当時はマイクロ波放射の安全性に関する議論もありました。1970年代前半には、消費者団体が放射線漏れへの懸念を示し、政府機関やメーカーが安全基準を明確化する動きにつながりました。
1980年代:多機能化と利便性の拡大
1977年には電子レンジと電気オーブンを一体化した「オーブンレンジ」が登場。1978年にはスチーム機能付き、タッチパネル式のマイコンレンジが発売され、自動調理が可能になりました。
1980年代にはさらに多機能化が進みました。カードクッキング機能や音声ガイド機能、回転焼串機能付きモデルなどが登場し、家庭での調理が一層便利に。1986年にはオーブントースターと一体化した「トースターレンジ」も登場しました。
日本メーカーはインバータ技術を導入し、省エネ性能や出力制御の向上を実現。1988年にはホームベーカリー機能付きレンジも発売され、パン作りまで自動化されました。
1990〜2000年代:高機能化と健康志向
1990年代後半には、インターネットからメニューを取り込める機能が登場し、電子レンジは「カスタマイズ家電」として進化しました。2000年代に入ると過熱水蒸気技術を活用した「ヘルシオ」が登場し、余分な油や塩分を落とす健康志向の調理が可能になりました。重量センサーや温度センサーによる自動調理機能も標準化され、家庭での調理の幅は大きく広がりました。
2010年代以降:スマート化と多様化
近年の電子レンジは、スチームとオーブン、グリルを組み合わせた多機能モデルが主流となり、さらにIoT技術を取り入れたスマートレンジが登場しています。スマートフォンと連携し、調理状態を遠隔で確認できる機能も実用化されています。
電子レンジの語源
「電子レンジ」という名称は、マイクロ波という「電子」の働きと、加熱機器を意味する「レンジ(range)」を組み合わせたものです。英語では「Microwave Oven」と呼ばれ、「マイクロ波を使ったオーブン」を意味します。初期の商品名「Radarange」は、レーダー技術に基づくことを示すものでした。
電子レンジは、戦時中のレーダー研究に端を発し、偶然の発見から誕生しました。商業用から家庭用へ、アメリカから日本へと広がり、技術革新を経て多機能で健康志向に対応した現代の調理家電へと進化しました。今後もスマート化や省エネ化が進み、生活にさらなる利便性をもたらす存在であり続けるでしょう。代が進むにつれ、機能性、ファッション性、個性表現の媒体へと変化してきました。現代では、より多様な身体への対応や、性別にとらわれないデザインも進んでおり、今後の進化も期待されます。
オリジィだよ!この記事を読んでて思ったんだけど、電子レンジってほんと「偶然の発見」から始まったんだね。チョコがポケットで溶けたのがきっかけだなんて、まるで漫画みたいなエピソード!最初は冷蔵庫くらい大きな機械だったのに、どんどん小さくなって、今じゃどこの家庭にもある。しかも「チン」という音まで文化になっちゃうなんて、すごいよ。ぼくの家でも毎日レンジが大活躍してるけど、こうして歴史を知ると「ただの便利家電」じゃなくて、人類の工夫と進歩がつまった発明なんだなって感じる。これからももっとスマートになって、オーブンもグリルもレンジも全部ひとまとめ、みたいな未来が来るのかな?
ノロジィだよ。今では普通となりましたが、自分は小学生の頃に初めて電子レンジが家にやってきました。電子レンジの設置をしてくれた電気屋のおじさんが得意げに「10秒でほら!お湯になってる。」と行っていたことを鮮明に覚えています。子供ながらに「おじさんではなくて発明した人がすごいんだよな」と思っていた生意気な少年でした。
参考文献: 日本電気工業会 / Whirlpool / IEEE Spectrum / 家庭電気文化会 / Wikipedia


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